捨て仔犬 4  



「ああっ・・・あ・・・誠一・・・イクッ・・・」

「まだまだだ・・・」

「も・・・ダメ・・・」

「へばってんじゃねぇ」

「くぅっ・・・はぁっ・・・だってぇ・・・」


ちっ、
どうして、こいつを抱くと、
やめられなくなっちまうんだろう・・・


幾度、突き上げても、
幾度、解き放っても、
果てが見えない。


「せ・・・い・・・いち・・」


口に出すのは、ムカツクから、
いつも、心の中で名前を呼ぶ。


(練・・・)


もう、何度目かわからない熱を、
練の中に注ぎこんだ。




********************



「誠一、やっぱ、今日はいつもと違うよ!」
「何言ってるんだ」
「う〜ん、何か、燃えてた〜って感じ。それに、凄く優しかったし〜」
「別に・・・いつもと変わらねえよ」
「ふふっ・・・絶対、田村のことだ」
「違うって言ってるだろ。
只の友達って言ってたじゃないか。
そんな奴、一々気になんかするはずがないだろ。いいかげんにしろよ」

自分で言ってて、さらに、腹が立つ。
練のやろうは、上目遣いで俺を見上げてくる。

「正確に言うと、只の友達ってわけじゃないんだよ」

練はにやりと口の端を上げ、
それから、俺の鼻の頭を舐めやがった。

「じゃぁ、何なんだ?おまえにとって、田村は」
「友達以上の存在」

ったく、俺をからかって、遊んでいやがるな、こいつ。
まるで、俺の反応を楽しんでいるかのようだ。

でも・・・
次に言って欲しい言葉は、わかっている。
たぶん・・・
練は、練なりに、俺に理解してもらいたいのだろう。

「好きなのか?田村のこと」
「好き以上」
「ほぉ、おまえにも、そんな奴がいたのか」
「だって、田村がいなかったら・・・俺
とっくに、夜空の星だよ。
もしも、あいつが話しかけてくれなかったら・・・
優しくしてくれなかったら・・・
生きてはいけなかったよ。
あの中では・・・
絶対に・・・」
「命の恩人・・・か」
「ん、誠一もだけどね」

練はふんわりと柔らかい笑みを浮かべ、誠一の胸に頬を寄せた。

「じゃ、お礼を言わなくっちゃな。命の恩人に。
田村がいなければ、俺はお前をこうして、抱けなかったんだからな」
「誠一が・・・田村に頭下げるの?
あいつ、そんなことされたら、ビビっちゃうからやめといた方がいいよ」
「俺は、筋は通す。たとえ、相手が誰であっても、恩を受けたなら頭は下げるぜ」
「誠一が田村に恩?」

練は、驚いて目を見開いた。

「あぁ、酒でも、一緒に呑もう。
今度、時間を作るから、お前から言っておけよ」
「うん、なんか嬉しい。
誠一、サンキュ。じゃぁ、もう1回、しよ!」

練はとびっきりの笑顔で、誠一のものを再び口に含んだ。




                                

    2009.7.23

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